1 はじめに
前回から時間が経ちましたが、民事執行法改正についてのコラム第2弾となります。
本コラムからは、改正点について触れていきたいと思います。
今回ご紹介する改正点は、“債務者財産開示制度の改正”です。どのような制度か簡単に見ていきましょう!
2 債務者財産開示制度とは~法廷で全財産を洗いざらい話してください~
民事執行は、“民事訴訟の結果を実現するもの”ですが、必ずしも実現できない場合があります。
それは、相手の財産が分からない場合です。裁判所は財産の調査をしてくれませんので、どのような財産があるかは、自分で調べる必要があります。
では、「どこに財産があるかわからない・・・」といった場合はどうすればいいでしょうか?
答えは、“弊所にご相談ください”でも良いのですが、自分でアグレッシブに行いたい方もいらっしゃいますよね。そこで、平成15年に新設されたのが、債務者財産開示制度です。
債務者財産制度を使うと、債務者は財産目録を裁判所に提出して、法廷で自らの財産について洗いざらい話すことになります。債権者は、後から記録を見て、財産を特定することができます。
一見便利そうな制度です。しかし、この制度、あまり利用されませんでした。
3 債務者財産開示制度の問題点~出なくても良いの?~
債務者財産開示制度の欠点、それは罰則が弱かったことです。罰則自体はありましたが、30万円以下の過料です。不出頭、虚偽の話をしても逮捕や刑務所に行く恐れがなかったので、30万円払って財産を隠そうとする悪い人を防ぐことができませんでした。
4 改正のポイント~弱いから破る、なら強くすれば良い~
罰則が弱いから破る人がいる・・・なら改正のポイントは分かりやすいですね。そう、厳罰化です。改正法では、懲役又は罰金に処されます。懲役、つまり刑務所送りが追加され、お金の問題では無くなりました。また、過料が罰金に変更され、違反したら警察に逮捕される可能性がでました(過料は裁判所がするもので、警察に逮捕されるものではありません。刑法の“科料”とは違うので要注意!)。
(和手)