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転売ヤーにご注意

 新型コロナウィルスの感染拡大によって、マスクやアルコール消毒液が、ドラッグストアから一斉に姿を消したのは記憶に新しいところ。
近はメーカーの増産等によって、普通に購入できるようになってきましたが、マスクを求めてあちこちのお店をさまよう「マスク難民」となった方もいらしたのではないでしょうか。

イメージ写真 マスクなどが入手困難になった原因の一つに「転売目的での大量購入」があります。通常価格で大量に購入し、品薄になった商品を高額で販売する行為は、本当にその商品を必要としている人たちに物資が届かなくなり、大変迷惑でモラルに反することは間違いありません。しかし、モラルに反するだけでなく、一定の場合には法的責任を問われることもあります。

 マスクやアルコール消毒製品については、新型コロナウィルス問題に対応し、国民生活安定緊急措置法26条1項によって転売を禁止する物資に指定されたことで、2020年3月15日(マスク)、同年5月26日(アルコール消毒製品)以降に一定の転売契約をした者が1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金で処罰されることになりました。
 他にも、コンサートチケット等についても「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略称チケット不正転売禁止法)があり、法律の要件を満たすチケットの転売が刑罰をもって禁止されています(1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金)。
 最近では、外出自粛の影響で、テレビゲーム機の需要が高まり、中でも人気のNintendo Switchは、品薄で定価ではなかなか購入できない状態となっているようですが、やはりその背景には、「転売ヤー」と呼ばれる転売目的の大量購入者の影響があり、販売店もその対策に悪戦苦闘しているとのことです

 ゲーム機については不正転売を直接禁止する法律はありません。
しかし、販売店が「転売目的での購入はお断りします」ということを明示していたにもかかわらず、これを告げずに転売目的でゲーム機を購入した場合、対価を払って購入したとしても詐欺罪が成立するという見解もあります。詐欺罪の成立範囲は、商取引に大きな影響を与えるため、慎重に考える必要がありますが、あまりに悪質な行為は詐欺罪が適用される可能性もないとはいえません。
いずれにせよ、自分が必要としていない物を購入して転売で稼ごうという行為は、褒められたものではなく、行うべきではないことは間違いありません。ゲーム機は、ゲームを楽しみたい子どもたちの手に、適正価格で届けられるべきです。そのためには、わたしたち消費者も「転売ヤー」からは絶対に購入しないことが大切です。買う人がいなければ、「転売ヤー」という職業は成り立たないのですから。

(一由)