クスコの裁判所 2010年11月

 クスコは言わずと知れたインカ帝国の首都である。標高は3400m。人口は30万人でリマに次いでペルー第2の都市だ。スペインのあぶれ者ピサロのひきいる僅かな私兵の騙し打ちに遭ってインカ帝国は滅んだ。高台から見た町は赤レンガ色一色で美しい。
 宿泊したロス・アンデスホテルは古い由緒あるホテルで,町の中心にあり,ロケーションがよい。
 ここを拠点に自由時間を街歩きに費やした。


裁判所庁舎


 O氏はCD屋と楽器店,私はスーパーマーケットと裁判所。こんな貧しい国の昔の都に裁判所なんてあるかいなと思ったが,何とあった。目抜き通りの一等地にあった。素晴らしく大きな白亜の殿堂のような建物で,長野の裁判所など比較にならない。中に入ると大勢の市民が廊下を行き来している。これも長野の裁判所とは大違いだ。掲示板を見るとコンサートやボランティアのようなチラシが貼ってある。長野の裁判所は競売や送達の裁判関係の書類だけだ。ううむと私はうなってしまった。クスコの裁判所の方がよほど市民に開かれ,市民に溶け込んでいると。
 思いこみや分かったふりは禁物である。司法や裁判の中身は分からないが,異国についてそれが誤解を生む。その場所へ行って触れて初めて分かる。
偶々ホテルの近くにあった裁判所を見て,そのことを実感した。  

(武田芳彦)