天皇と平和主義… 2015年6月
現在在位している天皇のことを今上(きんじょう)天皇という。天皇は即位して崩じるまで天皇である。未成年であっても、重大な病気や事故のために任務を行うことができなくても天皇である。この場合には摂政又は臨時代行が置かれる。崩じると元号を付した天皇,例えば「昭和天皇」と呼ばれる。
現在の天皇は明仁天皇である。昭和8年12月23日に誕生されて、現在81歳。終戦の年は11歳。
現憲法施行時は13歳である。多感な少年期に戦争と平和という両極の体験を、身をもってされたことになる。
5月の半ばに明仁天皇に直接拝顔する機会があった。姿そのものから誠実さ、優しさ、弱者への思いやりがにじみ出ていた。
この明仁天皇の過去の戦争への反省と平和に対する思いは、半端ではない。そのお言葉の一部。「日本では、どうしても記憶しなければならないことが四つはあると思います。終戦記念日、広島の原爆の日、長崎の原爆の日、そして6月23日の沖縄の戦いの終結の日です」、「過去の歴史を(中略)正しく理解しようと努めることは日本人自身にとって(中略)極めて大切なことと思います」、「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。(中略)過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切と思います」。
これまでも、沖縄、サイパンに慰霊の訪問をされ、今年4月には高齢を押してパラオ・ペリリュー島に赴かれた。
転じて、この国の首相はどうだ。彼は昭和29年の生まれで、戦争を知らない。先の大戦はまちがっていなかったとか、日本はアメリカとともに世界で戦うべきだと言って憚らない。憲法第1条の日本国民統合の象徴である天皇の平和への思いと実践に学び、憲法9条を世界に発信することこそ、この国の最高責任者のはずなのに。
(文責:武田)
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