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趣味に貴賤なし?… 2013年11月 

  「趣味はなんですか?」と質問されることがあります。
 少し前までは,「読書です」「音楽鑑賞です」と無難な受け答えをしていたのですが,最近は「テレビゲームです」と答えることが多くなりました。
 私は,生粋のファミコン世代であり,大作RPGの発売日を指折り数えて待っているような子どもだったのですが,「テレビゲームが趣味」と公言することには,昔は抵抗があり,なんとなく気恥ずかしかったので,前2者の無難な答えを使っていました。けれども,最近は抵抗がなくなりました。

テレビゲームが趣味であると答えた場合,反応は大別して3つにわかれます。
 (1)ああそうですか,で終わる人
 (2) え?,弁護士さんもテレビゲームなんてするんですか?と驚く人
 (3) わたしもテレビゲーム好きなんですよ,どんなゲームするんですか?と話が広がる人
 
 (2) のような反応については,「弁護士のような堅い職業の人はテレビゲームのような幼稚な趣味はやらないものだ」という前提があるように感じるときがあります。
 ここで,「テレビゲーム」を「登山」や「ゴルフ」,「映画鑑賞」,「釣り」,「囲碁」に置き換えてみたらどうでしょうか。(2) のような反応はほとんどなく,ほとんどが(1) か(3) のような反応になるのではないかと思います。
 
 わたしも既に述べたように,昔は「テレビゲームが趣味」というのはなんとなく低級な趣味のようで引け目を感じていたのですが,年をとる中で,論理的・哲学的に突き詰めて考えた結果,「趣味に貴賤はない!」が正しいと確信するようになったので,(2) のような反応の背景にあるテレビゲームの趣味としての地位の低さ(?)に不満があり,家族には「テレビゲームだって,ゴルフだって同じ趣味じゃないか。なにが違うんだ?」と問い詰めるのですが,家族に言わせると「ゴルフは健康にいいし,ゴルフ仲間だってできる。テレビゲームは,目が悪くなるし,一人で黙々と機械をいじっているだけで時間の無駄」とあっさり切り捨てられてしまうのがオチです。私は,ことこの問題に関しては,プラトン対話篇でのソクラテスのように相手を論理的に追い詰める自信もあるのですが,それ以上まともにとりあってもらえません。

 仕方なく,「そうかなあ,ゴルフよりお金はかからないし,登山や釣りのように危険もないし,趣味なんてしょせん時間つぶしなんだから,ある意味みんなムダなことだと思うけどなあ・・・」と一人ぶつぶつ言っているのですが,テレビゲームが市民権を得るのはまだまだ先のようです。

(文責:一由)