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身近な果物・りんごを振り返ってみると… 2013年9月 

  空は抜けるように青く,朝晩はすっかり涼しくなりました。 秋といえば,食欲の秋。信州ではりんごやぶどう,くり,きのこ,新そばに新米などなど,数多くの自然の恵みを味わうことができます。今回は,その中からりんごについて調べてみました。

 リンゴの原産地は,カザフスタン南部,キルギスタン,タジキスタンとされており,約8000年前頃の炭化したリンゴがトルコで発見されています。そのため,その頃には既にリンゴは栽培されていたとする研究もあるそうです。

 さて,現在,日本で栽培されている品種は,ヨーロッパ・アメリカを経由し,明治期以降に伝来したそうです。身近で良く見かけるリンゴは,実は,比較的最近からのお付き合いのようですね。 ところがそれ以前にも,遣唐使や遣隋使により8世紀の奈良時代までには中国・朝鮮半島から渡来していたと考えられています。こちらは,粒の小さな酸味と渋みが特徴の,「和りんご」と呼ばれる種類。高倉天皇が1170年頃にりんごの木を奉納したという記録も,春日大社にあるそうです。実よりは花が珍重されていたこともありましたが,食用として各地に伝承され,また仏前の御供え物としてされていたそうです。この和りんごの一種,「高坂りんご」は,明治初期まで飯綱町の高坂地区で盛んに育てられ,お盆には善光寺さんで売られていたそうです。 高坂りんごは,幻の和りんごと呼ばれ,現在でもわずかに栽培されているそうです。
 先人達の生活や風俗に想像を巡らせながら,和りんごをいつか味わってみたいと思う今日この頃です。

(文責:山田)