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飯綱山の名の由来 2013年5月
 暖かくなりチューリップ,芝桜など様々な花が咲く季節となりました。そして,青い空に飯綱,戸隠などの山々が映え,高原ではバーベキューを楽しむ方達も多いことでしょう。
 ところで,戸隠の名の由来についての伝説は有名ですが,飯綱の名の由来はご存じでしょうか?

 私は小学生の頃,下校途中に「飯に綱(縄)だなんて不思議な名前だな。」と,この山を眺めては疑問に思っていました。
 そこで,この度,その名の由来を調べたところ,「飯砂」に由来するという説に行き当たりました。「飯砂」とは,飯のように食用となる砂の意味で,「テングノムギメシ」と呼ばれるものを指し,これがかつて山中にあったとのことです。そして,凶作の際には,飯綱三郎天狗が飯砂を人々に配ったという伝説もあるそうです。
 テングノムギメシとは,信州などの産地で,地表や地中に産する径数ミリメートルから1センチメートル,黄褐色で膠状の塊状物です。その正体は,菌類,藻類の複合体だといわれているそうですが,その生態の詳細はまだわかっていないそうです。
 気になるお味は??というと,残念ながら,特に味はなく美味しいものではないようです。

 さて,飯綱山では残念ながら絶滅したと言われるテングノムギメシですが,他の地域には未だ産地が存在します。ただ,土地の利用形態の変化や地球環境の変化により絶滅が危惧されているそうです。
自然環境の変化により生物がいなくなるだけでなく,地名の由来や食などの文化の面でも失われるものがあることを知りました。地域の自然と歴史,文化の関わり合いをもっと知りこれを保全していきたいものです。

(文責:山田)