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融資保証詐欺(貸します詐欺)にご注意を! 2013年3月

 

融資保証金詐欺(貸します詐欺)とは,資金繰りに窮した中小企業,個人事業主,個人に対し,実際には融資する意思がないのにもかかわらず,ダイレクトメール,ファックスなどで「資金繰りに困っている方ご相談にのります」,「即決〇〇万円まで,融資可能」,「簡単審査」,「担保・保証人不要」などと勧誘の上,融資を申し込んできた人から「保証金」「借入手数料」「紹介料」などの名目で,お金をだまし取る手口です。

 実際には,「保証料」などのお金を払っても,融資は受けられません。オレオレ詐欺が若干洗練されたものにすぎず,その本質は詐欺であることに注意が必要です。
 融資保証金詐欺は,前からある手口ですが,私としては中小企業金融円滑化法の期限切れ(2013年3月)に伴い,再びこの手口が増えるのではないかと心配しています。
  詐欺師は常に詐欺のネタ,カモを探しています。中小企業金融円滑化法の失効は詐欺師にとって絶好のチャンス到来といえるでしょう。

 中小企業金融円滑化法は,中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸付条件の変更等を行うよう努めることなどを内容とする法律で,中小企業の資金繰り悪化等への対応策として政府がとった措置の一つです。
 具体的には,この法律によって金融機関には,柔軟な対応をすることが求められ,努力義務に過ぎないとはいえ,実際リスケジュール(返済条件の変更-略してリスケともいいます)等に柔軟に応じている金融機関も多いです。
 しかし,中小企業金融円滑化法の利用によって,金融機関からリスケなどの緩和措置を取ってもらっていた中小企業,個人事業主などが,同法の終了によって,場合によっては金融機関から厳しい対応をとられ,資金繰りに窮することなどが懸念されます。
 その場合,事業継続の見込みの有無によって,事業を再建して続けるか(私的再生,民事再生など),整理するか(私的整理,破産など)の選択を迫られることになりますが,ほとんどすべての場合,なんとかして破産は避けたいと必死になるのが普通です。

 詐欺師が狙うのは,そこになります。
 「手形の決済は5日後に迫っている,銀行からの追加の支援は受けられない,どうしよう・・・」そんなパニック状態になったときに,冒頭のような詐欺師からの甘い誘いがやってきます。
 融資保証金詐欺に遭ってしまえば,当然ですが融資は受けられませんし,わずかに手元に残っていた現金さえも失い,破産の申立てすらできなくなってしまうこともありえます(破産を申立てるにも,弁護士費用や裁判所への予納金が必要です)。
 事業の資金繰りが厳しくなってきた場合,金融機関からの援助の見通しが経たなければ,弁護士(法律事務所),会計士,税理士などのきちんとした専門家に相談し,しかるべき処理をとることが必要です(従業員や,取引先にとってもそのほうが良いことがあります)。

 繰り返しになりますが,融資保証金詐欺はこれから絶対に増えると思います。
 勧誘があっても絶対に耳を貸さないようにしましょう。

(文責:一由)