改正貸金業法 2010年5月
いよいよ、改正貸金業法がこの6月18日から完全に施行されることとなりました。今回の改正は、多重債務で苦しむ多くの方を救済するとともに、今後、多重債務となる方をできるだけ生み出さないようにと平成18年に改正されたものです。少しずつ施行され、ようやくこの6月で完全施行となります。
 日ごろから借金でお困りの方の相談を受けている我々にとって悲願の完全施行ですので、このコラムでも紹介させていただきます。

ポイントは大きく分けて3つです。

  1. 貸付の「総量規制」が導入されます。
    → 借入残高が年収の3分の1を超える場合には、新規の借入ができなくなります。また、借入の際には原則として「年収を証明する書類」が必要となります。

  2. 上限金利が引き下げられました。
    → これまで、29.2%であった上限金利が、15%~20%に引き下げられます。今まで「グレーゾーン金利」(※1)と言われたものがなくなります。

  3. 貸金業者に対する規制の強化
    →貸金業者に「貸金業者取扱主任者」を営業所におくことが義務づけられます。
    →ヤミ金に対する罰則が強化されます(懲役5年→懲役10年へ)。

    ※1 「グレーゾーン金利」とは、これまで貸金業者について、出資法上の上限金利と利息制限法の上限金利との間にズレがあり、一定の要件を満たすと有効な金利となっていた部分のことです。
    詳しくは金融庁のホームページを参照下さい。

 皆さんにとって重要なのは、1と2です。借入(入口)と返済(出口)の両方から、多重債務で困る人を減らすための改正がなされたといえるでしょう。特に、金利が29.2%よりも高かった時代にはいくら返しても借金が減らず、厳しい取立も重なって自殺する人が後を絶ちませんでした。韓国でも、利息制限を撤廃したとたんに金利200%を超える業者が大量に現れ、それによる自殺者が急増して社会不安が増大したという苦い経験から2002年に利息制限を復活させたという経緯があります。
 コマーシャルでは「ご利用は計画的に」などと言っていますが、それだけでは借金で苦しむ人を救うことにはならなかったのです。
 借金問題に限らず、法的トラブルに巻き込まれそうなときは、事前に(計画的に)お近くの弁護士までご相談下さい。

(文責:宮下)