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介護事故とその対応

近年高齢化社会の進行に伴い福祉施設での介護事故が増加しているといわれています。介護事故が発生すると法律上の責任問題が生じるおそれがあります。

具体的には不法行為責任、使用者責任等の民事上の責任が生じ福祉施設の職員や施設自身が利用者側から損害賠償を求められることがあります。裁判所で1000万円を超える高額の賠償額が認められた例もあります。また傷害罪、業務上過失致傷罪等の刑事上の責任が問題になり刑事裁判になる可能性もあります。

 このように重大な責任問題につながる介護事故への対策としては、
(1)  前に予防策を講じて介護事故が起きないようにする。
(2) もし介護事故が生じてしまった場合には迅速かつ適切な対応をとり問題の早  期解決を目指す。
ということが必要です。

 どのような対応をとるにせよその基礎となるものは記録に裏付けられた事実です。介護事故の予防や対応には正確かつ詳細な記録・報告書が欠かせません。

 なお介護事故を防ぐということばかりを強調していくと「とにかく介護事故さえ防げればよい。安全であればよい。」と考えて施設の利用者の希望を無視し、不便を強いることにも繫がりかねません。施設、職員、利用者、利用者の家族といった関係者がよく話し合ったうえで、介護事故への配慮を怠らないという前提のもと可能なかぎり利用者の方の希望、幸せを実現できるような介護を実現していく必要があります。

 福祉の現場では常に介護事故のリスクを感じながら利用者のお世話をされていることと思います。弁護士としても介護事故予防のために助言を求められた場合には現場の職員の方々の意見をよく伺ったうえで上記リスクに対応すべく適切なアドバイスをしたいと考えています。 

 (文責:山崎典久)