1 はじめに
前回のコラムから時間がたちましたが、犯罪被害者支援についての第2弾のコラムとなります。
今回は、刑事事件における被害者の立場と手続に関して解説します。
2 被害者参加制度が出来る前
平成20年12月に刑事訴訟法が改正され、被害者参加制度が導入される前は、被害者や遺族の立場は、訴訟の"客体"でした。つまり、被害者や遺族は、刑事裁判における証拠と同視されることはあっても主体、つまり裁判のプレイヤーでは無く、言いたいことも言えない状態でした(裁判上被害者側とみられる検察官は、あくまでも公益の代表者であり、被害者の代理人ではありません。)。
そのため、刑事裁判において一番の関係者である被害者が除外されるという状況でした。
しかし、上記改正により、被害者はただの客体ではなく、参加し、刑事裁判において、主体となれるようになりました。
3 被害者参加制度とは?
(1)対象事件
被害者参加制度は、全ての刑事事件で認められているわけではなく、以下の犯罪に関する刑事事件に限り認められます。
① 故意の犯罪行為により人を死傷させた犯罪
~殺人、傷害、強盗致傷などの犯罪が当たります。
② 強制性交等の性犯罪、業務上過失致死傷罪、誘拐の罪など
③ ②を含む罪
~強盗強姦罪
④ 過失運転致死傷罪など
⑤ ①~③の罪の未遂罪
(2)対象者
また、参加制度の対象者は、被害者の状態等により以下のとおり決められています。
① 被害者・・・必ず対象者になります。
② 法定代理人・・・未成年者の親など、存在する場合は対象者になります。
③ 委託された弁護士・・・被害者等から委任された弁護士は対象者になります。
④ 配偶者、直系の親族、兄弟姉妹
⇒ 被害者が亡くなった場合又はその心身に重大な故障がある場合のみ対象者となります。
以上が対象者になります。
対象者は、当該事件の担当検察官に参加を申出て、裁判所の許可を得ることにより参加することが可能になります。
※ 手続が複雑なので、ご不明な点は弁護士にご相談ください。
※ 参加“可能”なのであって、参加“しなければならない”訳ではありません。
(3)被害者参加制度でできること
参加制度を用いると以下のことが可能になります。なお、無制限に可能なわけではなく、裁判所の許可が必要な事項もあります。
・公判期日への出頭 ※弁護士を伴っての出頭も可能です。
・証人への尋問 ※尋問事項に関して制限があります。
・被告人への質問
・事実又は法律の適用に関し、意見を述べること
上記の事項が可能になったことにより、被害者の知らないところで、又は蚊帳の外に置かれることなく、被害者や遺族が裁判に関与できるようになりました。
被害者支援制度に関して、今回は、被害者参加制度に絞って解説しました。次回の私のコラムでは、被害者参加制度以外の支援制度について、説明をしていきたいと思います!
現在犯罪被害でお困りの方は、是非長野第一法律事務所にご相談ください!
和手