1 はじめに
さて、前回のコラムまでで、特定商取引法の概要を説明しました。今回は、同法の直近の改正点に関し、重要なものに焦点を当てて、ご説明いたします。
2 令和3年6月16日に交付された改正法のポイント
(1)詐欺的定期購入商法対策の改正
化粧品やサプリメントを購入する際、いきなり月10万円で30年間の契約と言われると多くの人が躊躇するでしょう。そこで、定期購入をさせる業者は、初回500円!等と安くし、商品に興味を持たせた上で、定期購入を持ちかけます。そして、これ自体は問題ありません。
しかし、お試し1回の購入だと思わせて最初から定期購入を持ちかける業者や、解約条件を複雑、高額な違約金を附すなどして解約を困難にさせる悪質業者もいます。
本改正では、通信販売に関し、定期購入で無いと誤認される表示に対する罰則の制定や、これに騙されて行った申込みの取消制度の創設、契約解除に対する妨害の禁止が制定されました。
これにより、定期購入の場合、インターネット上であっても定期購入の内容が表示されるようになり、また、騙されてしまった場合は、取り消すことも可能になりました。
同法の施行日は、令和4年6月1日になります。
(2)送り付け商法対策の改正
送り付け商法(ネガティブオプション)とは、業者が一方的に注文していない商品を送り付け、代金を請求する悪質商法です。改正前は、14日間保管した後でないと送られた商品を処分できませんでしたが、改正により、直ぐに商品を処分できるようになりました。
布団など大きな物を送り付けられたときに直ぐに処分できるようになった点は、有益な改正です!
同法の施行日は、令和3年7月6日になります。
(3)各種書面の電子化の改正
従前業者が重要事項を説明する際に示さなければならない事項やクーリングオフの際に伝える事項は、書面で行う必要がありました。
しかし、本改正では、それを電子化(つまりメールなど)して行うことができるようになりました。
この改正、一見便利になったとも思われますが、業者からの通知が電子メール等の場合、気付かずに見過ごしてしまう可能性もあります。業者の通知は、お客の承諾がないと電子化することができませんが、悪質業者は、巧妙に承諾させるものと思われますので十分に注意する必要があります。
クーリングオフに関する改正は、令和4年6月1日から施行されていますが、上述したとおり、問題の大きい事業者の書面の電子化の施行日は決まっていません(今年の6月15日までに施行されると法律上は定められています)。
3 多くの面で消費者に有利な改正ですが、中にはかえってトラブルになる恐れのある改正も
存在します。
契約する際は、契約内容を良く確認し、わからない内容の契約には決して承諾・署名・押印しないことを心がけて本年を恙なく過ごしていきましょう!
(和手)