意匠登録の要件の1つに、「物品等自体の形状であること」というものがあります(意匠法2条1項、意匠審査基準)。
意匠=デザインであるため、物品等自体の形状でないものについては基本的には意匠登録ができません(画像などの法定の例外は別ですが)。
ところで、これに関連して、「タオルやハンカチを一定の形に結んで例えばきれいな花の形状にしたもの」があるとします。
このような特定の形状をしたタオルやハンカチを意匠登録することはできるのでしょうか?
このような意匠は、販売展示効果を狙って形成されることが多く、サービス意匠と呼ばれたりもしますが、従来は、「物品等自体の形状とはいえない」ということで登録は難しいとされていました。
タオルやハンカチ自体は、ほどいてしまえば正方形や長方形の布ですから、物品等自体の形状ではないというのはそのとおりかもしれません。
しかし、このようなサービス意匠についても保護して欲しいというニーズが一定程度あるようで、最近の意匠審査基準の改定(令和2年3月19日)によって、限定的ながら、サービス意匠の登録の可能性が認められるようになりました。
意匠審査基準第Ⅲ部第1章2.2
(1)物品等自体の形状等について物品等自体の形状等とは、物品等そのものが有する特徴又は性質から生じる形状等をいう。 審査官は、販売を目的とした形状等についても、当該形状等を維持することが可能なものについては、物品等自体の形状等として取り扱う。 他方、当該形状等を維持することができないものについては、物品等自体の形状等に該当しないと判断する。
審査基準では、リンゴの形をしたタオルの例が肯定例としてあげられています。
他方、否定例として、カフェラテのいわゆるラテアート(コーヒーの表面にミルクできれいな絵柄を描くもの)が例示されています。確かにラテアートは液体であるため、難しいでしょう。
要するに「形状維持の可能性」(保形性)がある程度あればOKということなので、その点がきちんと特許庁に理解してもらえるような工夫をした上であれば、今後は、サービス意匠についても諦めずに、登録申請をしてみる価値はありそうです。
(一由)