Q 当社では、このたび商標を登録することができましたが、商標登録は永久に維持できますか?商標登録の管理で気をつけることはありますか?
A (1)商標の存続期間は、 10年間です(19条)。
更新もできますが、その場合権利満了の6ヶ月前から満了日までに更新の手続をする必要があります。
適法に更新を繰り返せば、事実上ずっと商標登録を維持できることになります。
この点が、特許権や著作権とは違う点です。
(2)登録後、3年以上継続して、日本国内で、指定商品・指定役務について登録商標を使用していないときには、第三者から不使用取消審判を請求されることがあり、使用の事実が証明できないと商標登録は取り消されます。不使用取消審判は、誰でも(「何人も」)請求できるとされていますので注意が必要です。
これは、商標は保持すること自体に意味があるのではなく、あくまで使用することで産業の発達に寄与することを目的とする制度であることと、使用されていない登録商標が長期間存在すると、他の人がその商標を使用できず、不当に不利益を被るためです。
不使用取消審判では、「使用の事実」については商標権者に立証責任があります。
したがって、商標登録を維持したいのであれば、商標を実際に使用し、使用の事実を立証できるようにしておく必要があります。
なお、ここでいう「使用」がどのようなものをいうかについては、様々な問題がありますので、当事務所にご相談ください。
(3)商標法73条では、商標権者が登録商標を使用するときには、商標登録表示を付するよう努めなければならないとされています。「○○は、当社の登録商標です。」や「®」といった記載を見ることがあるかと思いますが、このような記載はこの規定が1つの理由となっています(他に、普通名称化を防止するという意味もあるとされていますが、普通名称化については別途記事にしたいと思います。)。
(4)商標侵害行為を放置しないことも重要です。
これは商標侵害を放置すると、商標による顧客誘引力を不当に競業者に利用され、損失が生じることとなりますし、粗悪品が流通した場合に消費者が誤認混同することで、自社の商品や役務の質についても誤ったイメージが流布するためです。
商標侵害への対応は、紛争案件のため、弁理士ではなく、紛争処理のプロである弁護士のほうが長けています。
当事務所にご相談ください。
(一由)