① 相続登記の義務化
所有者不明土地の相続登記を義務づける法律改正がなされました。
概要は以下の通りです。
1 背景
所有者不明土地(登記簿から所有者が直ちに判明しない、あるいは所在不明で連絡が
つかない土地)は、全国の土地の22%にも達しています。すごいことですね。
なぜこのようなことが起きるかというと、
①相続登記をしなくても、大きな不利益がない
②都市部への人口集中や農業等の衰退によって、土地所有の意識が希薄化している
③高齢化、少子化によって、土地の管理の担い手が減少している
という社会の変化があります。
2 問題点
①土地が管理されず放置されたままとなる⇒隣接地への悪影響、公共事業・復興事業が
円滑に進まない、不動産取引に支障が出る、活用できない土地が増加する
②訴訟等の法的手続が必要な場合に、所有者の探索が大変になる
3 法改正の内容
(1)相続の登記申請を義務づける(3年以内、10万円以下の過料の制裁あり)
(2)住所・氏名・法人の商号・本店所在地の変更登記を義務づける
(2年以内、5万円以下の過料の制裁あり)
(3)登記名義人の死亡、住所変更等の事実を、登記官が他の公的機関から取得した
情報に基づき職権で公示する
4 環境整備
罰則付きの義務化であるため、土地所有者の負担軽減、手続の簡素化などの観点
から、以下のような点もあわせて改正がなされました。
(1)相続登記として、現在の相続登記のほかに、
「相続人申告登記」を新たに設ける。
一人の相続人単独で申告可能、添付する書類も簡略化する。
⇒これを行えば、義務を果たしたこととなる。
(2)所有不動産記録証明制度
自分が名義人となっている不動産の一覧を法務局から発行してもらい、
相続登記の漏れがないかを簡単に確認できるようにする。
(3)その他
・登録免許税の負担軽減策を予定
5 改正法の施行日
相続登記の義務化については、公布(2021年4月28日)後、3年以内の政令で
定める日
※政令は未制定(2021年7月時点)
6 どうすればいいの?
・相続登記の義務化によって、期限内にきちんと相続登記を済ませる必要があります
・改正法の施行日以前に相続が発生した土地についても、改正法が遡及適用されます。
⇒①自分の相続した土地をきちんと漏らさず確認する
②相続登記が未了のものはきちんと登記をする
③あわせて、遺産分割が未了の土地は、これを機会にきちんと遺産分割適用されます。
相続登記は当事務所でも代理を行っています。
遺産分割とあわせて処理することも可能です。
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(一由)