TOP > 今月のコラム一覧 > 67

空き家問題を考える

 全国の空き家は820万戸、総住宅戸建数の13.5%になります(平成25年総務省住宅・土地統計調査)。長野県は山梨県に次いで全国2番目に高い。

 一人暮らしの高齢者は522万世帯にのぼり、「空き家予備軍」が拡大していると指摘されています(朝日新聞)。

空き家の問題は、人や環境に被害をもたらすことにあります。例えば、倒壊による人的、物的被害、人の侵入による放火やごみの不法投棄、動物や害虫などの発生、地域の景観を損なうことなど。
 このようなことから、平成26年11月19日、空き家等対策に関する特別措置法が成立し、同月27日公布され、翌27年2月26日施行されました。
 この空き家対策法の中核は、市町村長は、被害をもたらすおそれのある空き家について「特定空き家」の認定をし、所有者に対して除却等を命令し、代替執行をすることができることです。

 しかし、近隣や地域の住民や自治会が、これでもう安心というわけにはいきません。世の中、そう甘くはないのです。
 建物取壊しの費用を所有者が負担できないときは、市町村は二の足を踏んで代執行をやりたがりません。行政におんぶにだっこ、お上にまかせるのでは物事は解決しないのです。まず、近隣や自治会が所有者(所有者が亡くなっている場合はその相続人)と交渉して、取壊しの同意や費用負担の承諾をもらい、場合によっては敷地の処分をまかせてもらうというようなお膳立てが必要なのです。まさに住民自治、ボランティアの精神が求められるのです。
 特に、隣家が最も利害関係が深いので、自治会とも協力して、空き家が古くならないうちに解決の途を探るのが、空き家対策のかなめです。弁護士はそのために援助することができます。