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No.1表示と広告(景品表示法)

広告で、「当社の製品は、業界No.1!」「お客様評価No.1」「顧客満足度No.1」といった広告を見かけることがあります。

企業としては、企業努力の結果、アンケート等でNo.1の評価を得ているのであればそれをアピールして、さらなる業務の発展を目指したいところではあります。

しかし、このNo.1表示については、消費者を誤認させるおそれがあるとして、法律で規制されているのをご存じでしょうか?

1 景品表示法(「景表法」)第5条では、自己の供給する商品等の内容や取引条件について、実際のもの又は競争事業者のものよりも、著しく優良であるとか著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止しています。

  この条文が、No1広告を規制する根拠となっています。

2 消費者庁 平成28年4月「比較広告に関する景品表示法上の考え方」

  消費者庁が定めたガイドラインです。

  比較広告それ自体を禁止するものではなく、「不当な表示」を規制するためのもので消費者庁の公式見解と考えてよいでしょう。

  このガイドラインによれば、以下の要件をすべて満たす必要があるとされています。

・適正な比較広告の要件
比較広告が不当表示とならないようにするためには、一般消費者にこのような誤認を与えないようにする必要がある。
このためには、次の三つの要件をすべて満たす必要がある。
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること

 

 これらの要件は具体的にどのようにクリアーすればよいかは、事案に応じてご相談いただく必要がありますが、「調査会社に調査を依頼してその結果があれば大丈夫」ということではまったくありませんので注意が必要です。

 調査会社の実施した調査が不適切なものであったりすれば、意味がありませんし、その調査結果を信頼して広告を実施しても、消費者庁や裁判所に対するいいわけにはなりません。

 悪質な調査会社が「No1広告やりませんか?」と高額な調査手数料を得るために勧誘してくるケースもあるとのことで、企業としては、本当に上記条件を満たす調査であるのかをよく吟味することが必要です。

3 消費者庁の姿勢は厳格化

  消費者庁は、2023年以降、No1広告に対して厳しい姿勢で臨むようになっており、処分を出すことに積極的になっています。

  例えば、エクスコムグローバル株式会社という企業に対して、NO1広告が景表法に抵触するとして、措置命令という処分を行っています。

  対象役務(サービス):「イモトのWiFi」と称するモバイルルーターのレンタルサービス

   表示内容:例えば、令和2年2月12日以降、「地球の歩き方インドネシア2020~2021年版」と称する旅行ガイドブックに掲載の広告において、「お客様満足度 No.1※ 海外Wi-Fiレンタル」、「海外旅行者が選ぶ No.1※ 海外Wi-Fiレンタル」及び「顧客対応満足度 No.1※ 海外Wi-Fiレンタル」と表示するなど、別表1「表示期間」欄記載の期
間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、エクスコムグローバルが提供する本件役務及び他の事業者が提供する同種又は類似の役務(以下「同種役務」という。)について、実際に利用したことがある者に対して「お客様満足度」、「海外旅行者が選ぶ」及び「顧客対応満足度」の3項目(以下
「本件3項目」という。)をそれぞれ調査した結果において、エクスコムグローバルが提供する本件役務の順位がそれぞれ第1位であるかのように示す表示をしている又は表示をしていた

 措置命令が発令されると、そのことが報道され、対象企業に対する一般消費者からの信頼は大幅に低下するのが通常です。

 また、インターネットにも当然その報道や消費者庁の処分公表記事が残ります。

 このように、安易なNo1広告は、かえって大きなダメージを受けることとなる可能性が高く、細心の注意を要します。

 

 広告については、行政庁の見る目が厳しくなってきていますので、景表法やガイドラインといった関係法令等を理解して、違法との指摘を受けないようあらかじめ弁護士にご相談ください。

 長野第一法律事務所では、長野県の中小企業の顧問弁護士業務に力を入れています。広告問題についても研究していますので、ぜひご相談ください。

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