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建設業特集4 建設業の特徴③~建設業の欠格要件~
前回から時間が空きましたが、建設業に関する連続投稿の続きとして、前回説明しきれなかった欠格要件に関して、解説します。
1 前回のおさらい
・許可には有効期限があります!
・許可には5つの許可要件と欠格要件があります!
・許可要件を全て満たさないと許可が下りません!
2 建設業許可の基準Ⅱ~欠格要件~
前回説明した許可要件は、全て満たしている必要がある要件です。他方、欠格要件は、1つでも満たすと許可がおりない要件になります。
欠格要件は、建設業法8条に定められていますので、以下解説します。
(1)欠格要件① 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
破産手続は、借金が多くて支払きれない状態なった際、会社等を精算する手続きになります。
借金等を精算するにあたり、破産した者には居住制限や資格制限などが生じ、これが解除され、破産者でなくなることを“復権”と呼びます。
※復権しても信用情報(所謂ブラックリスト)には残ります・・・。
自らの借金で手が回らない人に健全な建設業を営むことはできませんので、欠格事由となっています。
(2)欠格要件② 許可の取消処分を受けて欠格期間5年未満の者
一度出された許可も不正な手段で取得した場合や、違法なことを行えば取り消されることがあります。
反省するためにも5年間は再度の許可を受けられません。
(3)欠格要件③ 許可の取消処分に関する聴聞の通知の日から取消処分に関する決定までの間に廃業の届出をした者で、届出日から5年を経過していないもの
・・・取消後はまずいのか・・・取り消される前に廃業すればセーフでは?
⇒ いいえ、アウトです。本条項により、取消前に廃業しても同じ欠格要件が課されます。
(4)欠格要件④ 上記③の期間内に届出があった場合に、通知の日前60日以内に届出に係る法人・個人の役員、使用人などであった者でかつ、同届出から5年を経過していないもの
・・・ならば、役員を辞めて別会社を作ればセーフでは?
⇒ いいえ、アウトです。本条項により役員を辞めても欠格事由に当たります。
(5)欠格要件⑤ 営業停止期間中の者
上記建設業許可の取消まではいかなくても、違法なことを行った場合、営業停止処分を出される場合があります。
営業する資格が無い以上許可を取ることもできません。
(6)欠格要件⑥ 営業禁止期間中の者
営業停止の場合に役員等が新たに建設業を行えるとすると、営業停止の潜脱になります。このため、役員等に対し、営業禁止を命じることができます。
営業禁止である以上、許可もおりません。
(7)欠格要件⑦ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくまった日から5年を経過しない者
刑罰を受けるような罪を犯した以上、適正な建設業を営めるとはいえないので、欠格事由になります。
※ 禁固以上の刑:死刑(今回は関係ない)、懲役、禁固を指します。
(8)欠格要件⑧ 暴力団関係の罪など一定の法令違反により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
暴力団や暴力行為、労働に関する罪、そして建設に関する罪など一定の場合は、罰金の場合でも欠格事由になります。
(9)欠格要件⑨ 暴力団員又は暴力団員でなくなってから5年未満の者
暴力団員は適正な建設業を営むことが期待しがたいので欠格事由です。
(10)欠格要件⑩ 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
(11)欠格要件⑪ 未成年者でかつその法定代理人が①~⑩、⑫の欠格要件のいずれかを満たすこと
未成年者は通常単独で事業を営めないので、欠格事由は法定代理人を元に判断されます。
(12)欠格要件⑫ 法人の役員等であって①~④、⑥~⑩のいずれかに該当する者
法人(会社)だけでなく役員等が個別に行った場合も、法人の欠格事由になります。
(13)欠格要件⑬ 個人の使用人であって、①~④、⑥~⑩のいずれかに該当する者
人を使っている個人事業主に使われている人がやっても使った人の欠格事由となります。
(14)欠格要件⑭ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
暴力団員自身以外もその支配下の者には建設業は与えられません。
(15)欠格事由⑮ 申請に際し虚偽の申請を行った者
申請書や添付書類の重要事項に虚偽の記載を行えば、当然欠格事由に当たります。
(16)欠格事由⑯ 申請に際し重要な事実の記載を欠いた者
虚偽の記載でなくても、重要な事実を書かなければ欠格事由になります。
※ 役員等とは?
常に役員等に当たる、会社の取締役、執行役、業務執行社員、組合の理事等のほかにも、相談役、顧問、株主、役員に匹敵する支配力を持つ者等が該当します。
長野第一法律事務所では、建設業に関する契約やコンプライアンス、許認可について、相談を受け付けています。
今回の説明はあくまでも概説ですので、これから建設業を営もうとする方・詳細の説明が必要な方は、専門知識豊富な所属弁護士が相談に対応しますので、是非長野第一法律事務所にご相談ください。(和手)