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戸籍法の改正~振り仮名の届出が必要に~

今回も、連続投稿とは別に、来年5月施行予定の改正戸籍法について説明いたします。

戸籍法は頻繁に改正されていますが、今回は市民生活と関わりの深い“振り仮名”に関する改正についての説明となります。

 

1 そもそも戸籍とは?

  弁護士は日頃から使っている戸籍ですが、閲覧者の皆様は大事な書類を出すときに使うぐらいで、普段なじみの無いものと思います。

 そこで、まず概説となりますが、“戸籍”とは、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもので、日本国民について編製され、日本国籍を

公証する唯一の制度を指します。

 つまり、日本国籍と親族関係の証明制度というものになります。

 

2 戸籍にはどのような事項が記載されているのか?

  この戸籍ですが、具体的には以下の事項が記載されています。

  ① 本籍地

  ② 氏名

  ③ 性別

  ④ 生年月日

  ⑤ 父母氏名

  ⑥ 続柄

  ⑦ 戸籍出入りの時期・内容

  ⑧ 従前戸籍

  ⑨ 出生・婚姻などの身分に関する記載

 などがあります。

  このうち、②について、氏名の記載はありますが、従前振り仮名の記載はありませんでした。今回の改正では、この戸籍に、振り仮名の記載もされるよう

になりました。

 

3 なぜ振り仮名の記載が必要となったのか?

  従前の戸籍では、氏名自体の文字がわかれば、個々人の特定が容易だとされ、公に証明するのも氏名だけで足りると考えられてきました。

 しかし、データーベースで管理する便宜や複数の振り仮名を用いた規制潜脱行為(振り仮名が違うので別人として登録するなど)を防止するため、今回の改正で、振り仮名の届出が必要となりました。

 

4 具体的にどうなるの?

   まず、現時点で同制度が施行される予定は、令和7年5月であり、行政も同時期を目処に準備を進めています。

 その上で、現時点では、同施行日以後に出生や帰化などによって新たに戸籍を作成する場合は、その作成の届出時に振り仮名を記載する必要があります。

 また、新たに戸籍を作成しない場合でも全ての戸籍に振り仮名を記載する必要があるため、届出又は自動記載により振り仮名が記載されることになります。

 具体的には、

 ① 改正戸籍法施行(令和7年5月頃)

 ② 記載する予定の振り仮名の通知

   ①以降の日に本籍地から住民票等の情報を参考に記載予定の振り仮名が通知されます。

   ③ 市区町村長による振り仮名の記載

     上記の通知から1年以内に届出が無い場合、②記載の振り仮名で記

載されることになります。

   ・・・このため、②の振り仮名が違う場合は、通知から1年以内に振り仮名の届出を本籍地又は住所地の自治体に届け出る必要があります。

 なお、届出を行える人は戸籍の筆頭者(戸籍の一番上の枠に記載されている人)になります。

 そして、記載以降変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。

 

 5 予想されるトラブル

   まず、上記のように自動記載の制度がありますので、よく確認しないと違う振り仮名でそのまま戸籍に記載されてしまう可能性があります。この場合、一度だけ家庭裁判所

の許可無しで変更可能にする予定ですが、手続きが複雑になりますので、よく確認する必要があります。

 また、記載できる振り仮名は、「氏名として用いられる文字の読み方として一般的に認められているものでなければならない」となっています。この

ため、反対の意味を持つ振り仮名(高をヒクシと読む)、誤記と疑われるおそれのある振り仮名(太郎をジロウと読む)、漢字と全く関連性のない読み

方(純をマイケルと読む)などは、認められないおそれがあります。

 

長野第一法律事務所では、親族関係に関する法律相談を受け付けています。

是非長野第一法律事務所にご相談ください。(和手)

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