住宅ローンが払えなくなったときに・・・任意売却の前に
深刻…急増する住宅ローン破綻 返済困窮者8万人超
というニュースを目にしました。
(1)住宅ローンが払えない=任意売却ではない
収入が減少して,住宅ローンが支払えなくなった場合に,住宅の「任意売却」を解決方法として勧誘する不動産業者は多くあります。本当にそれしか手段がない場合もあります。しかし,業者の中には,住宅ローンが支払えない=任意売却とあたかもそれ以外に選択肢がないかのような説明をして,任意売却を勧める業者もおり,注意が必要です。率直に言うと,不動産業者が売却仲介手数料を稼ぎたいがために,やたらと任意売却を勧めていたのではないかと思われる事案もないではありません。
一定の収入がある場合には,任意売却で自宅を手放さずに,住宅ローンの支払い条件を変更して乗り切ることができる場合もあることを知っておく必要があります。
(2)個人再生手続の住宅ローン特則(住宅資金貸付債権特則)の利用
民事再生法には住宅ローン特則という制度があります。
これは,住宅ローンの支払いができなくなった人が民事再生法に基づき,住宅ローンの返済条件を変更する制度です。これが適用できれば,任意売却や競売で住宅を手放さなくても良い場合があります。
様々な要件がありますので,具体的な話は弁護士に相談していただく必要がありますが,大きくわけて3~4つのタイプがあります。
ア 期限の利益回復型
滞納した住宅ローン債務の部分を一定の弁済期間内に返済する再生計画案を裁判所に提出し,認可を受ける方法
イ 弁済期間延長型
各弁済期における支払額を,当初の契約条件より緩和することで各回の負担を軽減するもの(トータルでの支払額をカットするものではありません)
ウ 元本据置型
弁済期間延長型でも駄目な場合に,一定の元本猶予期間について住宅ローンの元本返済を少なくする方法(トータルでの支払額をカットするものではありません)
エ 同意型
金融機関の同意がある場合に,支払い条件を緩和する方法
任意売却は,あくまで最後の手段です。せっかく苦労して支払ってきた住宅ローンの返済を無駄にしない為にも,まずは個人再生手続により自宅を維持できないかを検討してください。
安易に任意売却を勧める不動産業者にはご注意ください。
当事務所では,個人(非事業者)の債務整理のご相談は初回無料です。ご相談ください。
一覧ページへ戻る