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どんな髭剃りにも哲学がある
私は床屋さんで髪を切ってもらっています。
若い頃は美容室に行っていましたが、いまは床屋派になりました。
確かに床屋さんでは洗練された髪型にはなりません。
「2ヶ月分切ってください」注文はこれだけです。
でも年を重ねるとそれはあまり気にならなくなりました。
髪が短くなってさっぱりすればそれでいいや、という感じです。
そして何より、床屋さんには美容室にはないあのサービスがあります。
髭剃りですね。
ふわふわの泡と蒸しタオル、切れそうな冷たいカミソリで顔をジョリジョリと剃ってもらうあの時間は、至福の時間です。
そんな自分としては、毎日の髭剃りも面倒くさい作業ではなく、愉しみになっています。
もちろん電気シェーバーなど邪道です。
昔ながらのT字剃刀(一枚刃)、貝印ゴールドステンレスで顔をあたります。
ちょっと油断すると流血する硬派なカミソリですが、最近、ゴールドステンレスよりさらに硬派なカミソリを使うようになり、さらに愉しみが増しました。
フェザーの両刃カミソリです。
ホルダーに薄い両刃カミソリをセットして使うタイプです。一週間くらいでカミソリを交換しますが、一枚50円くらいなので経済的でもあります。
扱いが難しいとされるゴールドステンレスを使い慣れているわたしも、最初はかなり緊張しました。ホルダーによってもあたりが違い、いま使っているミューレのR41というホルダーにハイステンレスをセットすると本当にダイレクトに刃が肌にあたるので、深く剃れるのですが、角度を間違えると流血間違いない感じがたまりません。
深剃りしてツルツルになった顎を撫でてニヤニヤする、そんなささやかな愉しみが日々に潤いを与えてくれています。
村上春樹さんの小説に「どんな髭剃りにも哲学がある」という有名なフレーズがあります。
両刃カミソリはまさにそれを実感させてくれる愉しい実用品です。
村上春樹さんといえば、そのエッセイに「小確幸」という村上さんの造語もありました。
自分にとっての小さな確かな幸せという意味で、確かそんな小確幸があるとその分だけ人生が豊かになる、といったような話でした。
わたしにとっての髭剃りや床屋さんでの時間は、飼い犬と遊んだり、パスタを茹でたり、キンキンに冷やしたビールを飲んだり、両切りのピースを吸ったりするのと同じ小確幸なのだと思います。
みなさんの小確幸はなんですか?
ちなみにフェザーのホルダー付カミソリセットは、ホームセンターで1000円くらいで手に入りますので関心のある方はどうぞ。