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カスタマー・ハラスメント(カスハラ)対策~担当者まかせはNG~

今回は カスタマー・ハラスメントへの対策に関して説明します。

令和6年10月11日に東京都で「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が公布され、今年(令和7年)の4月1日施行するだけでなく、当事務所のある長野県でも、今月同種の条例制定への提言がされています。

 カスタマー・ハラスメントの被害は、従業員、企業への大きなダメージになります。

 深刻なトラブルが発生する前に体制を整えていきましょう!

 

1 カスタマー・ハラスメントとは?

  カスタマー・ハラスメント(以下「カスハラ」と言います。)について、現時点で法律上の明確な定義はありません。しかし、上述した東京都の条例(以下、「東京都条例」といいます。)では、「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」(東京都条例第2条第5号)と定義しています。

 また、厚生労働省のマニュアルでは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するた

めの手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」としています。

 いずれも、すべてのクレームをカスハラとするのでは無く、「著しい迷惑行為」に該当する場合や、社会通念上相当性を欠く場合に該当します。

 

2 まずは、何をすれば?

  それでは、上記カスハラを防ぐために何をすべきでしょうか?マニュアル作成?・相談体制の構築?・研修?・・・いいえ違います。

  最初に行うことは、企業としての基本方針の策定です。

 企業としての方針・経営陣の方針が定まらなければ、結局、担当者まかせ、中途半端なマニュアル作成などに終始してしまうことになります。

 そこで、最初に企業が行うことは、以下の事項を要素とした基本方針を策定し、従業員に周知することになります。

 ① カスハラの内容

 ② カスハラが自社にとって重大な問題であること

 ③ カスハラを放置しないこと

 ④ カスハラから従業員を守ること

 ⑤ 従業員の人権を尊重すること

 ⑥ 常識の範囲を超えた要求や言動を受けたら、周囲に相談して欲しいこ

  と

 ⑦ カスハラには、組織として毅然とした対応をすること

 

3 マニュアル作成時の注意点

  カスハラへのマニュアルとしては、上記の厚生労働省のマニュアルが存在します。

 しかし、カスハラの判断基準は、業界・業種で事情が異なることもあり、普遍的なものでは、実際に現場で使えないおそれがあります。

 そこで、厚生労働省のマニュアルは、あくまでも参考とし、法務・総務の中だけで考えるのでは無く、実際にクレームを受ける現場から適宜ヒアリングして、その企業ごとのマニュアルを作成する必要があります。

 

4 研修は必要?

  基本方針を示し、マニュアルを作れば問題無い!・・・いいえ、そのようなことはありません。マニュアルだけで完璧にこなせれば、どんな企業も日々苦労していないでしょう。

 このため、マニュアル内容を適切に浸透させ、実施するためには、現場、法務担当、経営者層それぞれに研修を実施する必要があります。

 さらに、そのような場合には、単に基本方針やマニュアルの内容を確認するだけでなく、実際にクレーマー役を用意して、ロールプレイ形式で行う方が有効です。

 

5 基本方針の立て方がわからない・マニュアルはどう作れば・研修の仕方がわからない・・・

 このような点でお悩みの事業者の方は、是非、長野第一法律事務所へご相談ください。

 

 

 長野第一法律事務所では、基本方針の策定、マニュアル制定、従業員研修のいずれに関しても、中小企業のご相談に対応しています。

 カスハラ対策、困難なクレーマー対応にお悩みの方、研修講師をお探しの方は、是非長野第一法律事務所にご相談ください。

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