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隣の土地との境目が分からないときは
土地の売買をするとき、その土地と隣の土地との境目がどこか、ということは誰しも気になるところだと思います。
最近の土地売買の場面では、事前に土地家屋調査士による境目の特定を経ていることが多く、問題になるケースはさほど多くありません。
しかし、かつては境目を特に確定しないまま土地の売買が行われるケースもありました。また、先祖代々の土地など、いつ取得したか分からないようなケースだと、隣の土地との境目がうやむやになっていることもあります。
では、隣の土地との境目が分からないとき、どのように対応すればいいのでしょうか。このようなときの解決策の1つとして、筆界特定制度があります。
1 筆界特定制度とは
土地には筆界と呼ばれる境目が存在します。ところが、その土地を実際に見てみても筆界を示す線が明確に引かれているわけではなく、書類上で定められたものに過ぎません。書類上に記載された筆界が、現地ではどこにあるのかを特定するのが筆界特定制度です。
なお、隣地との間にフェンスや塀などが立てられているような場合であっても、そこが当然に筆界に当たるわけではありません。また、土地の所有者同士で話し合って筆界を定めたり変更したりすることもできません。
2 筆界特定制度の利用方法
筆界の特定を求める土地の所在地を管轄する法務局等において申請を行うことで筆界特定制度を利用できます。
申請の際に手数料を納付することが必要です。手数料の金額は、申請者が所有する土地と筆界特定を求める隣接土地の価格(固定資産税評価額)により決定されることになりますが、長野県内であれば数千円から数万円ほどとなることが一般的だと思われます。
また、手続きを進める中で測量等の調査をする必要が生じることも多く、その場合にはその費用も支払うことが必要となります。
3 手続きの進み方
筆界調査委員と呼ばれる専門家(土地家屋調査士など専門知識を有する方)が中心となり、現地調査や測量、法務局に保管されている関係資料の調査などを行います。申請者や相手方が意見を述べることもできます。
筆界調査委員は調査結果を基に意見書を作成し、法務局に提出します。法務局(筆界特定登記官)が最終的に筆界を特定することになります。
裁判手続きを利用する場合に比べると、早期に結論が出ることが期待されます。
4 筆界特定の結果に不服がある場合
筆界特定の結果に不服がある場合、裁判所において境界確定訴訟を提起し、争っていくことができます。
もっとも、境界確定訴訟の前に筆界特定制度を利用している場合、筆界特定制度の手続きの中で収集された資料や判断結果が裁判手続きにおいても利用されることがあります。
このように筆界特定制度については、筆界調査委員の調査に任せきりにするのではなく、当事者としても必要な証拠を提出し、的確な主張を行っておくことが必要です。
筆界特定の問題の解決には専門的な知識を要します。また、先ほどご説明したように、境界確定訴訟に移行した際にも筆界特定の手続きで得られた結果が資料として利用されることもあります。
隣地との筆界の問題でお困りの際は、ぜひお早めに、長野第一法律事務所にご相談ください。(坂井田)