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相続人がいないとき、故人の財産はどうなるか
身寄りのない方が亡くなった場合や、相続人全員が相続放棄をした場合など、亡くなった方の相続人が誰もいないということがあります。
このような場合、亡くなった方の財産はどのように処分されるのでしょうか。
また、亡くなった方に対する貸付などがあったのに相続人がいないとき、債権者はどのような対応ができるのでしょうか。
さらに、相続人ではないものの、亡くなった方と家族同様の生活を送っていた方が遺産を引き継ぎたいというような場合、どうすればいいのでしょうか。
ここまでに述べたような事案で利用されるのが相続財産清算人の制度です。
本稿では、相続財産清算人の役割などについて説明します。なお、以前は相続財産管理人と呼ばれて2023年の民法改正前までは相続財産管理人と呼ばれていました。
1 相続財産清算人の役割
相続財産清算人は、遺産の目録を作成して遺産の管理を行います。そして、債権者に対する支払いに関する手続きを経て、残った遺産があれば、基本的には国庫に帰属させる(つまり、国の資産とする)ことになります。
ただし、特別縁故者(生計が一緒であった方や、亡くなった方の療養看護に努めた方など)から申立てがあれば、国庫へ帰属させる前に特別縁故者への財産分与を行うことがあります。
2 相続財産清算人の選任の申立て
相続人が存在するか明らかでないときは、利害関係人または検察官の請求により、相続財産清算人を選任しなければならない、とされています(民法952条1項)。
利害関係人には様々なパターンがありますが、典型例としては、特別縁故者や亡くなった方に対して債権を有していた方、受遺者(相続人ではないものの、遺言により相続財産の受取人とされている方)などが挙げられます。
申立の際には、手数料・切手代のほか、予納金として数十万円から100万円程度を裁判所に納める必要があります。
これは、清算人の報酬や管理実費に充てるためのものです。
相続財産清算人として選任されるための資格については法律上特に定めはありませんが、弁護士や司法書士が選任されるケースが多いです。
3 相続財産清算人の活用
家族の在り方が多様化している現代社会においては、法律上は相続人とはならないものの、まさに家族として生活を送っている、というケースも増えてきています。
このようなケースで、一緒に生活を送っていた方の生活を維持していく方法の1つとして、相続財産清算人を選任した上で、特別縁故者として遺産の分与を受けることが考えられます。
ただ、これらの手続きは裁判所に申立てをする必要がありますし、特別縁故者に該当するか否かの判断は複雑なものでもあります。
特別縁故者として遺産の分与を受けることを検討されている場合は、ぜひ長野第一法律事務所までご相談ください。(坂井田)