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 未公開株式・社債の購入に関するトラブルにご注意ください

1 未公開株式とは,なんですか?

 未公開株式(未公開株)とは,株式を公開していない会社の株式のことを指します。株式を公開していないため,証券取引所での売買をすることはできませんが,株式の所有者との直接の売買をすることはできます。未公開株式を購入するということは,その会社に対し出資することとなり,会社の業績次第では一定の配当を受け取ることが可能です。未公開株式取引では,購入時の価格と将来の上場時の差額によって,多額のリターンが得られるという趣旨の勧誘が行われることが通常です。

2 未公開株式の購入に関してトラブルが多発しています

未公開株式を購入することは,非常にリスクの高い取引です。原発事故によってほぼ安全といわれていた東京電力の株価が暴落したように,そもそも株式投資自体がリスクの高い取引ですが,未公開株式は上場株式取引よりさらにリスクの高い取引です。未公開株式は,証券業の登録を経た通常の証券会社であっても,いわゆるグリーンシート銘柄を除いて,その取引の勧誘をすることが原則として禁止されています。現在,取引勧誘されているほとんどの未公開株式は,グリーンシート銘柄ではありません(「グリーンシート銘柄」の意味がわからない人は,その時点で未公開株式を購入しない方が無難です。)。
  未公開株式は,現状では,詐欺の道具として利用されているといっても過言ではありません。未公開株式取引のトラブルをめぐって,全国の消費生活センターに多数の相談が寄せられています(国民生活センターの発表)。
  一般市民が未公開株式を購入することは,避けた方が無難です。

3 未公開株式のトラブルの典型例

(1)購入の勧誘
「限られた方だけへのご案内です」などとして,パンフレットなどの資料を送付してきたり,電話での勧誘がされることが多いようです。勧誘者は,未公開株式の販売業者あるいは未公開株式の発行会社であることもあります。
 なんらかの興味関心を示す人がいると,勧誘担当者がやって来て,勧誘トークを行い,未公開株式を購入するよう勧誘します。その際,以下のような勧誘トークが行われます。

 (勧誘トークの例)
「来年の○月には,株式上場予定である。」
「今だけしかこの会社の株を買うチャンスはない。」
「この株を買えば,1株あたり○円の利益が出ることはほぼ間違いない。」
「役員やその親族も上場を見越して株を買っているが,良質な株主を増やすために限られた株主候補だけにこの話をしている。」
「この低金利の時代にこんなに条件のいい投資はない。」

 未公開株式の発行会社は,バイオテクノロジー関連会社や医療機関など素人にわかりにくい事業を営む会社が多いです。上場するような実力を持った会社はまずなく,詐欺のために設立されてもっともらしいパンフレットだけを作成することもあります。特定の大手監査法人との関係を示して信用ある会社であることを装う場合もあります。
発行会社の登記事項証明書のコピーが資料として渡されることもありますが,法務局で会社の登記がなされていることはその会社の財産的信用とは無関係です。法務局では一定の書類が整っていれば登記を必ず受け付けますので,会社が登記されていることだけで信用することは危険です。同様に,登記事項証明書の「資本金」の金額を重視することも危険です。

(2)購入後の追加勧誘
 1株いくらという形で,株式の購入代金を振り込ませます。客観的な株式価値とおよそかけ離れた高額での購入価格となっているのが通常です。株券が送付されてきますが,株券自体の見た目がいくら立派なものであっても,株式の価値とは関係がないことに注意が必要です。
一度購入すると,さらに追加での購入を勧誘されたり,別会社の未公開株式を購入するよう勧誘され,手持ち資金のほとんどを奪われることもあります。

(3)いつまで経っても上場しない
  購入者は,株式の上場を楽しみに待っていますが,勧誘トークで示された上場予定時期を過ぎても上場しないのが通常です。購入者が会社や販売業者に問い合わせても,「監査会社の変更によって上場が遅れている」,「○○(リーマンショック,大震災などの社会的事件)の影響で,上場予定が延びている。」などと理由をつけて,待つように説得されます。

(4)連絡が取れなくなる
  そのまま時間が経っても結局上場することはないまま,発行会社や販売会社と連絡がとれなくなり,手元の株式は無価値な紙切れとなります。この時点で消費生活センターや弁護士に相談しても,投資資金を回収することはほぼ不可能です。

(5)二次被害に遭うことも
  困っている購入者に対して,「購入資金を取り戻すことができる。」,「株券を預けてもらえば,第三者に転売できる」などとして,別の業者が金銭を要求してきたり,株券を預かろうとすることがあります。
  これらの業者は,もともとの勧誘業者や発行会社とグルになって,購入者からさらに金銭を奪おうという業者であり,絶対に信用してはいけません。被害が拡大するだけになります。

4 未公開株式以外のパターン

  未公開株式の代わりに社債(少人数私募債など)が用いられるパターンもあります。最近では,医療債(医療機関の社債)などが用いられることも多いようです。「医療機関だから,社債も大丈夫」と早計するのは禁物です。

5 未公開株式トラブルに遭わないために

 未公開株式は,購入しないことが一番です。未公開株式のトラブルに遭わないためには,これまで述べてきた点を念頭に置き,相手にしないことが一番です。
  もし,購入してしまった場合,直ちに弁護士や消費生活センターにご相談してください。早期であれば,投資した金銭を回収することができる場合もあります。