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気軽に遺言を

先日,ある会合で,遺言についての話しをしました。当然知られていると思っていた遺言の知識が非常に少ないことに気付きました。弁護士の目線は,一般の市民の皆様とはかけ離れているということに思いを深くしました。
 そこで,もう一度遺言について記すことにします。

 両親の相続人である夫に先立たれた子どものない妻,農家や商家の跡取り,虐待や侮辱をする子が相続人であるとき,先妻の子と後妻やその子が相続人である場合,相続人がない場合など,いずれも相続や遺産の分割に当たって紛争や問題が生ずる構図になっています。
 それ以外の普通の相続の場合であっても,相続人同士がいざ遺産を分割するとなると,ちょっとした感情から対立することになります。これらの危険な相続の構図や相続人の意見の対立を防ぐか軽減する方法が遺言なのです。
 自分の財産を相続人らの意思に任せるのではなく,生前に自分の財産の処分方法を自らの意思によって決めておくというのが遺言です。それが紛争の予防になるとしたら,これはやっておくべきことということになります。

 遺言には,典型的なものとして自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言があります。しかし,公正証書は安全で確実ですが,公証人役場へ証人2人を同行して行かなければならず,また手数料もかかるということで,そうでなくとも遺言が一般化されていない状況の中では,なかなか実行するというのは難しいことです。
 そこで私は,手軽にいつでもできる自筆証書遺言の作成をお勧めしています。
 用紙は便箋でも何でもよいので,ここに遺言の全文と日付と氏名を自署して押印すれば立派な遺言になります。なるべく短い文章で,加除訂正がある場合は書き直すようにしましょう。例えば,「遺言 私は自分の財産全部を○○に相続させる。」あるいは「○○の財産を誰々に,誰々に○○の財産を相続させる。」というものでよいのです。これを封印して,信頼できる人に預けておきましょう。
 とにかく全部,自筆で書くことが必要です。印鑑は,どんな印鑑でもいいのですが,やはり後で紛争が生じないように実印か銀行印等がいいでしょう。それから,自分の筆跡であることがわかるようにするために,対照用の手紙等も残しておくと万全です。

 遺言は,考えが変わったら何通でも作ることができます。後に作成されたものが有効です。だから,いつでも好きなときに好きな遺言を作って,前のものは保存しておいてもよいが,破棄した方がいいでしょう。公正証書がある場合であっても,後に作成された自筆証書遺言の方が優先されます。
 遺言は,相続に関する紛争を防止するきわめて有効な手立てですので,気軽に作るようにして下さい。