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日常生活の著作権(録画と上映)

TVの番組表を見ていたところ、前から見たいと思っていた映画が放送されることを知り、これを録画しました。見てみると素晴らしい内容で、これは仲間にも見せてやりたいと考え、DVDにダビングして趣味の同好会の定例会で上映する計画を立てました。この同好会は2か月に1回開かれ、毎回2~30人が参加します。会場は公共施設の会議室です。著作権との関係で問題はないですか。このような電話相談を受けました。どう考えたら良いでしょうか。  

映画 イメージ写真  まず録画(複製)です。著作権法30条1項は著作物は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」(「私的利用」)を目的とするときは、原則複製できるとしています。だから一人や家庭内で見るために録画することは問題ありません。

 しかし、当初からこれを超えて多数の者に見せる目的で録画することは私的利用目的ではなくなり許されないことになります。ちなみにどの程度の人に見せるのなら許されるかという人数は3、4人程度から10人程度とする見解がありますが、定説はありません。
 次に録画したDVDの上映です。著作権法38条第1項は①営利を目的としない、②観衆から料金を取らない③上映者などに報酬を払わない、ことを条件として上映できるとしています。
 そうすると、私的利用目的で録画したDVDを同好会で上映することは問題ないことになりそうですが、著作権法49条1項1号は私的利用の目的で録画したものでも、これを頒布したり公衆に提示(つまり上映)すれば著作者が専有する複製権を侵害したこととみなしています。このことによって結局著作権者の許諾がない限り上映できないというのが専門家の解説です。
 何とも分かりにくい説明です。
 この分野は録画とか上映について一般市民が行うことを予定していない時代のものが多く、したがって裁判例もなく定説といえるものもありません。
 現段階でいえることは、私的利用の目的で録画した映画は、10人程度の仲間の会合で上映する程度なら許されるということになろうかと思われます。
 著作権者の権利を守りつつ、この国の文化を発展させるための著作物の利用の仕組みを改善する必要を痛感します。  

 

(武田)