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親権、面会交流とフレンドリーペアレントルール③

 夫婦が離婚する場合、未成年の子供については必ず親権者を決めなければなりません。このとき、父と母のいずれが親権を取るかで激しい紛争を生じることがよくあります。前回の記事はこちら

5.ニュージーランドにおける親権と子の監護
(2)ペアレンティング・オーダーの履行確保

当事者の一方がペアレンティング・オーダーを履行しない場合、次の履行確保手段が用意されています。
①カウンセリング
②裁判所による履行命令
③ペアレンティング・オーダーの変更命令
(例えば、「子の日々の養育」について、ペアレンティング・オーダーに違反している当事者が関与できる時間を大幅に削減するなど。)
④保証金納付命令(間接強制のようなもの)
⑤損害賠償命令
⑥「日々の養育」又は面会交流の直接強制(強制的な引き渡し)
⑦3か月以下の懲役または2500ドル以下の罰金

なお、子供が面会に消極的な行動をとる場合であっても、子供に対するカウンセリングを実施し、面会を勧めることがおこなわれます。
上記③のとおり、ペアレンティング・オーダーに違反して面会を拒絶すれば、その内容が変更されます。この点でもフレンドリーペアレントルールが当然の前提となっています。

6.まとめ

ニュージーランドの例を上げましたが、欧米先進諸国、韓国などでは類似の制度が取られています。「相手方に親権を取られると、この先きちんと子供と会えるかわからない。」このような不安があると、親権を巡る争いは深刻化します。そうすると、欧米先進諸国のように、

①非監護親と子との関わり合いを密接にする
②親と非監護親との関わり方を具体的かつ明確に取り決める
③履行を保障する後ろ盾を用意する

という制度を確立する必要があるのではないでしょうか。このような問題意識を背景に、日本でも、継続性の原則を否定しフレンドリーペアレントルールを採用した裁判例が登場しました(千葉家庭裁判所松戸支部平成28年3月29日)。
しかし、このような実務が定着するには、最高裁の判決又は立法を待たなければならないでしょう。また、継続性の原則が明確に否定されるまでは、親による子の連れ出し、面会に消極的な態度が続くのではないでしょうか。

≪参照した文献≫
梅澤 彩「ニュージーランドにおける子の監護と面会交流」『ニュージーランド研究19巻』(2012年12月)
梅澤 彩「親権法の比較研究-ニュージーランド」(2014年8月)

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