お金と法律 2010年7月

 皆さん、そろそろ夏のボーナスの時期ですね。
 もちろん、もらえる人もそうでない人もいますので、一概に喜んでばかりはいられません。しかし、お金にまつわる話が嫌いな人はあまりいらっしゃらないでしょう。
 そこで今回は、お金にまつわる法律の話を少しだけ。 

 まず、多くの人が知らないと思いますが、日本には「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」という法律があるのです。
 その第2条には、「通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は1円の整数倍とする。」とあります。普段使う「円」という単位や100円、1000円なども法律上の根拠があったのですね。
 それから、ほとんど知られていませんが、面白い条文もあります。第7条には、「貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。」とあります。
 法貨とは、国が一切の取引に通用するものとして法律で認めたお金のことをいいます。
 つまり、この条文は「同じ種類のお金は20枚までは通用することを国は認めます」ということを言っています。もう少しかみ砕いて説明しますと、「100円の商品を買うときに、1円玉100枚を使っての支払はダメ」ということです。しかし、実際は使えることが多いですが(お店の人は嫌な顔をするでしょうが・・・)、お店の人から「ダメです」と言われたら諦めざるを得ない、とこの条文は規定しています。逆に、お店の人が「1円玉20枚は困ります」と言ったら、この法律を盾に取り、「1円玉20枚までは法律で認められている!!」と主張すれば裁判でも勝てるのです。面白い条文ですね。
 もう1つ法律を紹介します。「貨幣損傷等取締法」です。この法律はわずか条文1つで1項から3項の規定があり、「お金を傷つけると1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処します」というれっきとした刑罰法規なのです。
 皆さんの中にもポケットにお札を入れたまま洗濯機に入れてしまったことがある人もいることでしょう。しかし、この法律は過失(うっかり)で洗濯してしまった場合にはまず適用されません。安心しましたか?
 でも、大切なお金が使い物にならなくなってしまったら大変です。
 そこで、日銀は、そういう人のためにきちんとフォローもしてくれています。
 洗濯などで破れてしまったお札の場合、残っている部分が

  1. 3分の2以上であれば全額
  2. 5分の2以上3分の2未満であれば半額
  3. 5分の2未満は0円

という基準でお金を返してくれるそうです(3.は返ってきませんが・・・)。
 心当たりある方は、日銀ホームページ をご参照下さい。

※きれい好きで何回も洗濯する人は、くれぐれもポケットの中をお確かめ下さい・・・。

(文責:宮下)