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請願権を行使する  - その1 ―

憲法は国民に対しさまざまな権利を保障しています。
 近年問題になっているものだけでも平和的生存権、幸福追求権、投票価値の平等などの権利があります。

 これらの華々しい権利の中にひっそりと目立つことなく存在する権利があります。請願権です。すぎもとまさとの曲で有名になった「吾亦紅」は、神様が赤い花を集めていたとき、「吾もまた紅なり」と名乗り出たという言い伝えがありますが、請願権もまた私達に「私も憲法上の権利です」と言っているように見えます。

 憲法第16条「何人も損害の救済、公務員の罷免、法律命令又は規則の制定、廃止又は改正、その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し、何人もかかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」
これを受けて請願法が制定され、憲法と同時に施行されました。

 請願法第5条「この法律に適合する請願は官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」
 「その他の事項に関し」とあるように請願事項は、苦情、要望、依頼、抗議等から、政策、施策の採用、提言などまでありとあらゆることに及び、そしてこの請願を受けた国又は地方公共団体の機関は「これを受理し誠実に処理しなければならない」という国法上の義務を負うことになるのです。

 最近、国や地方公共団体は、市民から批判を受けそうな事業や施策について、市民からの質問や要望に対し木で鼻をくくったような回答をしたり、特に文書での回答を拒否する事例が多くなっています。市民を無視して自己の事業などを強引に進めようとするためです。  行政を正すために請願権を行使することを提起します。
 現時点では請願権をめぐる議論は少なく、判例も僅かです。
 しっかり勉強し、運動に役立つ実践的な研究が望まれます。

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